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中国
【石炭】

中国の北朝鮮炭輸入禁止でロシアとオーストラリアに漁夫の利 (16/05/13)
2016/5/13
中国【石炭】

 もし中国が実際に北朝鮮炭の輸入を制限すると、ロシアやオーストラリアが漁夫の利を受ける可能性がある。

 しかしながら、「もしも」という言葉は往々にして最も重要な鍵になる。

 つまり、北朝鮮の最も重要な輸入収入源の一つを中国が断固として断ち切るのか、あるいは、かつて北朝鮮制裁を理由に貿易禁令を実施した時の様に、中国当局が国境地区の大量の密輸品が国境から流入することを黙認するかどうかが、重要な不確実要因になる。

 中国は国連の新たな対北朝鮮制裁に合わせて、4月5日、北朝鮮から石炭、鉄、鉄鉱石等を輸入することを禁止した。

 当然ながら、北朝鮮もこの禁令の前に中国へ石炭駆け込み輸出に全力を挙げ、中国の税関統計によると、3月には北朝鮮は中国にとって第2の石炭輸入先になった。

 中国が3月に輸入した北朝鮮炭は235万トン、前年同月比80.6%の激増になった。今年第1四半期の北朝鮮炭輸入量は合計533万トンに上り、前年同期比45.2%もの増加になった。

 一方、中国の3月の豪州炭輸入量は7.9%増の576万トンになったが、輸入先第3位のインドネシアからの輸入は12.1%減少して、233万トンになった。

 北朝鮮の石炭輸出が4月から大幅に減少したと仮定するなら、こうした輸入統計はどの国が勝ち組で、どの国が負け組であるかを示している。

 北朝鮮が輸出する石炭の殆どは無煙炭であり、中国の3月の無煙炭輸入の中で北朝鮮の無煙炭は89%もの比率を占め、第1四半期には88.6%を占めた。次いでロシアの無煙炭の比率が6.4%であり、オーストラリアは2.9%に止まった。

 第1四半期におけるロシアから中国への無煙炭輸出は37万3,423トン、前年同期比27.9%減になり、オーストラリアからの輸出は49.6%もの大幅な減少になった。

 もし北朝鮮が無煙炭輸出から閉め出されると、ロシアとオーストラリアが中国への無煙炭輸出を拡大する余地が極めて大きくなるだろう。

 中でも形勢が有利なのはロシアである。なぜなら、ロシアから中国への輸出は中国東北部から行うことが可能であり、海運の面でオーストラリアよりも便利だからである。北朝鮮の無煙炭の多くも中国東北部へ輸送されている。

 但し、中国が北朝鮮の代わりにロシアとオーストラリアから無煙炭を輸入するとは限らない。

 3月のロシアの無煙炭のCIF価格は71.72ドル/トン、オーストラリアの無煙炭は75ドル/トンであり、いずれも北朝鮮の45.13ドル/トンをはるかに上回っている。

 つまり、中国の需要家は無煙炭以外の等級の異なる石炭を模索して、これまで北朝鮮から輸入していた石炭に代替させる可能性もある。

 もっとも、中国の買主が適合する国内炭を見いだせなければ、その他の競争相手と比べると、より質の高い石炭を提供できるのはやはりロシアとオーストラリアになる。

 (国際煤炭網 5月13日)