中国税関総署が5月21日に発表した統計によると、中国の4月期の軽油輸出は124万トンになり、3月の過去最高記録125万トンをやや下回った。一方、4月のパイプラインガス輸入量は前年同月比31％近くの増加になり、LNG輸入量も過去3ヵ月の最高になった。

　製油企業が増加を続けるガソリン需要を満たすため、中国の4月の原油精製量は過去最高近くの規模になり、このことが原油輸入量を最高レベルに押し上げた。しかし、その一方で、国内の軽油消費の鈍化のため、製油企業は海外に買い手を求めている。

　中国政府は原油価格が1バレル40ドルを下回った場合、石油製品小売価格を据え置くことを決定しており、そのため、国内販売の利益は高くなっているが、今年初めに中国の軽油需要が鈍化し始めたことと、ブレント原油価格が反発していることで、改めて輸出に力が入っている。

　一方、中国税関統計によると、4月のパイプラインガス輸入量は280万トンに増加し、LNG輸入量も前年同月比22％増加して189万トンに達した。

　現在、中国はエネルギー分野で天然ガスの比率を高めて、石炭と石油から天然ガスへの転換を進めようとしている。政府は需要を刺激するため、天然ガス公定価格を昨年11月から引き下げた。

　天然ガス価格はまだまだ高く、中国が2020年に一次エネルギー消費に占める天然ガスの比率を10％にするという目標を達成するのは難しいと見られている。しかし、天然ガスの値下げから5ヵ月間の中国の天然ガス月間輸入量はいずれの月も260万トンを上回っている。昨年の天然ガスの月平均輸入量は210万トン以下であった。

　（FX168 5月23日）