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【石油・天然ガス】

延長石油が10年ぶりの赤字に転落 生産能力拡張に油価低迷の直撃 (16/06/02)
2016/6/2
中国【石油・天然ガス】

 国際原油価格の低迷によりベネズエラ政府は破産の瀬戸際にあるが、中国「石油御三家」も程度の差はあれ、影響を被っている。しかし、最も顕著な影響を受けているのは「石油四天王」4番目の延長石油である。世界500強企業にも入っている延長石油は2015年に10年来の赤字に陥った。

 2008年の金融危機にも打ち勝った延長石油も油価に勝つことは出来なかった。2015年は延長石油にとって「最も厳しいチャレンジ」の年になり、「石油四天王」の中で真っ先に赤字に陥り、同年の赤字額は11.9億元に上った。

 延長石油の2015年の営業収入は2,208.97億元、前年比で若干の増収になったが、伸び率は前年の11.84%から低下し、6.1%に止まった。しかし、収益の面では、昨年の69.95億元の黒字から11.19億元の赤字に転じた。

 「石油御三家」も全て大幅減益になっているが、赤字にはなっていない。延長石油は営業コストが上昇すると同時に、管理コストと財務コストが上昇し、そのことも収益の余地を狭めた。

 延長石油は国内の開発を強化すると同時に、海外石油事業への投資を拡大している。同社の2015〜19年の海外投資計画額は2,600億元に上る。

 大規模な投資と生産能力拡張はこれまで延長石油に相当大きい収益をもたらし、国際油価が高かった当時は、金融危機の2008年においても延長石油の売り上げは600億元を超え、前年比38.4%の増収になった。その後、延長石油の営業収入は年々増加し、2013年には世界500強企業に入った。

 しかしながら、石油需給関係の変化と国際油価の大幅な下落が踵を接して襲来した。延長石油は油価65ドル/バレルが損益分岐点であるが、国際油価は40ドル/バレルに下落した。油価低迷は今なお続き、延長石油は損益分岐点を突破できないままである。延長石油は採掘による赤字を避けるため、一部の採油施設を停止したとのことである。

 延長石油の大幅赤字は、油価下落と生産能力拡張だけでなく、産業配置も関係している模様である。西安交通大学経済金融学院の魏瑋教授は取材に対し、「油価下落は石油産業チェーンの中でも上流に対する影響が相対的に大きく、下流の精製・販売業務が受ける衝撃は相対的に小さい」と指摘する。延長石油の業務は原油採掘など上流業務に集中しており、下流の販売業務は弱い。延長石油とは対照的に産業チェーンの下流に位置する中国石油化工(SINOPEC)の2015年の業績は32.1%の減益で済んでいる。

 (毎日経済新聞 6月2日)