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中国
【石油・天然ガス】

国際油価の持続的低迷を受けて中国が石油備蓄への民資参入を奨励 (16/06/07)
2016/6/7
中国【石油・天然ガス】

 5月31日、国家能源局はオフィシャルサイトにおいて《国家石油備蓄条例》案の意見公募版を発表した。同条例案は2006年の起草開始から10年を経てようやく意見公募版が浮上したことになる。

 意見公募版は、原油の精製、石油製品の卸売及び原油輸出入を手がける企業は企業義務備蓄を引き受けなければならないと規定している。また、民間資本が石油備蓄施設の建設と運営に参加するよう奨励するとしている。

 国家能源局の発表した統計によると、2014年7月からの22ヵ月間で中国は合計6.16億トンの原油を輸入したが、この数字は2015年の中国の原油総消費量を超えている。

 「国家石油備蓄条例意見公募版が打ち出されたことを契機に、中国の石油備蓄能力の建設が加速され、規範化も進む。これは国のエネルギー安全を確保する上で現実的なニーズであり、また、グローバルエネルギー市場において中国の主動性と発言権を増強することも可能にする。さらに、新しい時期において中国がグローバルなエネルギー管理に参画する重要な基礎になる」と上海外国語大学中東研究所助理研究員であり、中東とエネルギー研究の専門家である鄒志強氏は評価する。

 また、北京大学経済学院の曹和平教授は、「2014年以降、国際原油価格の下落が続いているが、これは外国からの原油を備蓄する重要な歴史的チャンスになり、意見公募版の公布も時宜に叶ったものだ」としている。

 公開資料によると、2015年に完成済みの石油備蓄基地は4ヵ所から8ヵ所に増えた。中国の石油備蓄施設の建設に伴い、石油備蓄に関わる主体がますます多くなり、所有権関係や利益関係が日増しに複雑化している。

 意見公募版の指摘によると、国家石油備蓄管理体制を完備し、国家石油備蓄の建設、管理、運用、監督管理の法的根拠を明確にして、国家石油備蓄の建設と管理の整然な展開を確保するためには、可及的速やかに関連規定を制定することが必要である。

 今回の意見公募版は、国が石油消費総量に見合う国家備蓄規模を保有すること、民間資本が石油備蓄施設の建設と運営に参加するよう奨励することを特記している。

 「今回の意見公募版の大きな特徴の一つは、企業を重要な主体として国家石油備蓄任務に組み入れ、民間の石油備蓄を推進するという点だ」と鄒志強氏は強調する。

 意見公募版の焦点の一つは、政府と企業の2つの種類の備蓄について初めて役割を明確に規定したことである。すなわち、政府備蓄については、国が担当機関を設けるか委託して、石油備蓄基地の建設、運営、管理を行なう。一方、企業備蓄については、原油の精製、石油製品の卸売や輸出入に従事する企業が義務備蓄の役割を引き受けなければならない。特筆すべきは、この条例においては、国有企業と民間企業の区別がなく、一律に企業の役割に従って規定と管理を行なうということである。

 意見公募版の規定によると、企業義務備蓄油の所有権は出資企業に属し、最低在庫管理が適用される。企業義務備蓄に要する建設資金、石油調達資金並びに運営管理費用は企業が負担する。

 (時代週報 6月7日)