トルコとロシアは、10月10日、戦略的トルコ・ストリーム天然ガス パイプライン・プロジェクトに関する政府間協定書に署名した。これは、イスタンブールで世界エネルギー会議を開催時にトルコのエルドガン大統領とロシアのプーチン大統領の会談後に行われたもの。二人の指導者は、イスタンブールでの会談時にエネルギー協力の深化からシリア情勢まで、幅広い問題について議論した。 

　上記協定書への署名は、トルコにとって地域のエネルギー・ハブになるという野心的な計画の実現に向けての前進であり、また昨年トルコのジェット戦闘機がシリア国境近くでロシアの爆撃機を撃墜して以来悪化したトルコ−ロシア間の関係正常化の過程での一里塚ともなるものである。当時モスクワはトルコ機によるロシア機撃墜を受けて、トルコの輸出や観光産業を直撃するような一連の経済制裁を科した。２国間の緊張は、トルコ・ストリームやAkkuyu原子力発電プラント等、主要なエネルギープロジェクトの将来を危ういものにした。

　しかし、アンカラは、この夏モスクワに対して関係修復への外交的な働きかけを行い、ロシアもこのトルコによる関係正常化努力に対し前向きに対応した。 

　エルドガン−プーチン会談に先立ちGazpromのCEO、Alexei Millerが記者会見で明らかにしたところによると、トルコ・ストリームは、黒海の海底（湖底）を横断する２本の天然ガス・パイプラインの建設を想定している。最初の1本は、トルコに直接天然ガスを供給するものであり、2本目は、天然ガスをトルコ経由で欧州諸国に配送するために使われる。 

　TASS通信によると、ロシアのエネルギー大臣Alexander Novakは、次のように述べている。「2本目のパイプライン建設時はJ/Vを立ち上げる可能性がある。そこでは、ロシアの会社が同ラインのオフショア部分を建設かつ所有し、またトルコの会社、恐らくはBotas、がトルコの消費者のためのオンショア部分を所有することになる」 。

　（IntelliNews 10月11日）