石油業界の間では、中国石油化工(SINOPEC)への巨額の補助金給付はほぼ確定しており、その額は100億元以上に上るとの情報が流れている。 SINOPEC関係筋によると、今年の同社の赤字は2006年よりも大きく、第3四半期には製油1トン当たりの赤字が600〜700元に膨れ上がり、第4四半期になると、事態は一層深刻になった。また、2008年1月は大雪災害のため、赤字はさらに深刻化した。供給を確保するため、高い価格で大量の石油を購入したため、製油部門全体が赤字になったのである。 SINOPECは、2005年に国家財政から100億元の補助金を給付され、2006年には50億元給付された。今回の補助金給付が実現すると、SINOPECにとっては3回目の給付になる。 石油3大手の中でも、SINOPECは、国内資源が少ないため、原油の大部分を輸入に依存している。一方、CNPCは国内に多くの石油資源を擁し、輸入量は少ない。また、中国海洋石油(CNOOC)の主要業務は探査と開発である。SINOPECは中国の原油輸入の80%を占め、精製量の70%を占める。そのため、国際油価の高騰による赤字の大部分をSINOPECが負担する形になり、政府の石油製品価格統制による影響も主にSINOPECが被ることになる。SINOPECの赤字は政策的な赤字と言える。 昨年の石油製品価格引き上げは1回のみに止まり、年末にSINOPECはCNPCとともに、財政補助を政府に申請した。広東省石油学会貯蔵・輸送・販売委員会の范小平事務局長は、今回のSINOPECへの補助金は、政策的な赤字が拡大しているため、2006年よりも大きなものになると予想する。 しかしながら、SINOPECの収益は年々拡大している。2006年は506億元の黒字であったが、2007年は700億元の黒字になったとも言われている。だが、范小平氏は、集団全体の黒字と製油部門に対する補助金給付は別の次元の話であると指摘する。 SINOPECは、前回の巨額補助金給付の際に非難の矢面に立たされた。SINOPEC側の弁明によると、同社は国有企業であり、たとえ製油部門が赤字でも、フル生産をする必要がある。また、国際石油製品価格が国内価格より1トン1,000元も高い場合ですら、石油製品を輸入して国内に供給する義務がある。しかし、SINOPECは上場企業でもあり、株主に対して責任がある。製油で収益を上げることができず、高価な原油を輸入してでもフル生産をすることが株主の利益に合致しない以上、国からの補助金が必要になる。 SINOPECは国家に対する責任と株主に対する責任の板挟みになっているが、こうした矛盾を解決するには、政府が、国家、企業、消費者の三者の利益を考慮した石油製品価格システムを打ち出すしかないと、范小平氏は指摘する。 (金融界 2月28日)
石油業界の間では、中国石油化工(SINOPEC)への巨額の補助金給付はほぼ確定しており、その額は100億元以上に上るとの情報が流れている。
SINOPEC関係筋によると、今年の同社の赤字は2006年よりも大きく、第3四半期には製油1トン当たりの赤字が600〜700元に膨れ上がり、第4四半期になると、事態は一層深刻になった。また、2008年1月は大雪災害のため、赤字はさらに深刻化した。供給を確保するため、高い価格で大量の石油を購入したため、製油部門全体が赤字になったのである。
SINOPECは、2005年に国家財政から100億元の補助金を給付され、2006年には50億元給付された。今回の補助金給付が実現すると、SINOPECにとっては3回目の給付になる。
石油3大手の中でも、SINOPECは、国内資源が少ないため、原油の大部分を輸入に依存している。一方、CNPCは国内に多くの石油資源を擁し、輸入量は少ない。また、中国海洋石油(CNOOC)の主要業務は探査と開発である。SINOPECは中国の原油輸入の80%を占め、精製量の70%を占める。そのため、国際油価の高騰による赤字の大部分をSINOPECが負担する形になり、政府の石油製品価格統制による影響も主にSINOPECが被ることになる。SINOPECの赤字は政策的な赤字と言える。
昨年の石油製品価格引き上げは1回のみに止まり、年末にSINOPECはCNPCとともに、財政補助を政府に申請した。広東省石油学会貯蔵・輸送・販売委員会の范小平事務局長は、今回のSINOPECへの補助金は、政策的な赤字が拡大しているため、2006年よりも大きなものになると予想する。
しかしながら、SINOPECの収益は年々拡大している。2006年は506億元の黒字であったが、2007年は700億元の黒字になったとも言われている。だが、范小平氏は、集団全体の黒字と製油部門に対する補助金給付は別の次元の話であると指摘する。
SINOPECは、前回の巨額補助金給付の際に非難の矢面に立たされた。SINOPEC側の弁明によると、同社は国有企業であり、たとえ製油部門が赤字でも、フル生産をする必要がある。また、国際石油製品価格が国内価格より1トン1,000元も高い場合ですら、石油製品を輸入して国内に供給する義務がある。しかし、SINOPECは上場企業でもあり、株主に対して責任がある。製油で収益を上げることができず、高価な原油を輸入してでもフル生産をすることが株主の利益に合致しない以上、国からの補助金が必要になる。
SINOPECは国家に対する責任と株主に対する責任の板挟みになっているが、こうした矛盾を解決するには、政府が、国家、企業、消費者の三者の利益を考慮した石油製品価格システムを打ち出すしかないと、范小平氏は指摘する。
(金融界 2月28日)