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中国
【エネルギー全般・政治経済】

中国が建設するパキスタンのグワダル港から初の就航 中国の石油輸送距離を85%短縮 (16/11/14)
2016/11/14
中国【エネルギー全般・政治経済】

 AFP11月13日電によると、パキスタンのシャリーフ首相は南西部バルチスタン州に赴き、中国が建設投資を行ったグワダル港の就航式典を主宰した。この港は中国の野心満々の「一帯一路」計画の重要な一環であり、新疆のカシュガルと結ばれ、新疆にとっては海への出口になる。

 中国の船舶がアラビア海とインド洋へ行くには現在マラッカ海峡を経由するしかなく、中国はもっと便利で信頼できるルートを模索してきた。グワダル港はアラビア海沿岸にあり、南アジア、中央アジア及び中東の戦略的ロケーションを占めている。また、グワダル港はペルシャ湾の喉元近くにあり、世界の石油輸送の重要ルートであるホルムズ海峡からわずか約400キロの位置にある。中東の石油がグワダル港から陸路で新疆に入る場合、現在のマラッカ海峡経由の石油輸送ルートを85%短縮することになる。

 シャリーフ首相は「グワダル港の正式稼動によって中パ経済回廊の夢が現実になりつつある」と表明した。

 しかしながら、AFPの11月13日電によると、安全問題が中パ経済回廊を阻害する主要な問題になっている。グワダル港就航式の前夜、バルチスタン州が再びイスラム国(IS)のテロ襲撃に遭い、52人が死亡、100人以上が負傷した。シャリーフ首相は襲撃事件を非難し、外国の投資家が安心して中国資本のグワダル港を利用できるよう万全の安全保障措置を講じると表明した。

 パキスタンの官僚によると、今回の襲撃はパキスタン西南部やその地区における中国の投資事業を損なうことが目的である。シャリーフ首相は軍に特別部隊を設けて、貿易ルートと港湾の安全を保障すると表明した。

 AFPの11月13日電によると、バルチスタン州は鉱産資源が豊富であり、テロ組織も利益を得ようとしている。安全問題は中パ経済回廊を阻害する主要問題であるが、中国はパキスタン軍部がこの地区をコントロールできると確信していると表明した。

 グワダル港を出口とする中パ経済回廊が最終的に開通すると、中国のマラッカ海峡に対する依存度は著しく下がり、そのことはアジアの経済貿易戦略構造にも深刻な影響を及ぼすことになる。

 中国外交部の洪磊報道官は定例記者発表会において、グワダル港は中パ経済回廊の重点事業の一つであり、中国とパキスタンの企業は引き続き平等、互恵、ウィンウィンを原則としてグワダル港の建設と開発を進めると表明した。

 (観察者網 11月14日)