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中国
【石油・天然ガス】

石油価格低迷の連鎖反応で中国の原油生産量が初の大幅減 (16/11/28)
2016/11/28
中国【石油・天然ガス】

 国際原油価格の持続的低迷に加え、中国国内の石油ガス消費の伸びの鈍化が連鎖反応を引き起こしている。中国の今年の原油生産量に初めて大幅な減少が生じ、石油大手3社の石油・天然ガス探査開発投資も下がり始めた。

 こうした傾向に対し、専門家は警鐘を鳴らしている。先日開かれた《2016中国エネルギー報告》発表会において、中国石油経済技術研究院の劉克雨研究員は、「国際石油価格の断崖式暴落と中国経済の伸び率の低下を受けて、中国の石油ガス消費の伸びは著しく鈍化し、消費構造には重大な変化が発生している。2016年は石油ガス市場に上掲の傾向が持続しただけでなく、供給側にも重大な変化が発生し、原油の大幅な減産が初めて発生した。これは以前は想像すら出来なかったことだ。中国の石油産業発展において今まで発生したことのない状況である。低油価の影響で、2016年第1〜3四半期の石油大手3社の上流部門は全面的に赤字になっている」と述べた。

 上流の探査開発投資が低下

 国家統計局のデータによると、9月期の原油生産量は前年同月に比べ9.8%減少し、第1〜3四半期の生産量は前年同期に比べ6%以上下がった。

 低油価が引き起こす連鎖反応には、「石油御三家」の上流探査開発投資の低下も含まれる。劉克雨研究員は「石油資源の中でも賦存度の高い資源はすでに大部分が開発され、新たに発見されているのは賦存度が低い資源や非在来型資源だ。低油価という条件の下では、真の意味で可採埋蔵量に転化し開発できる資源の比率になるとさらに小さくなる。また、低油価の影響で、石油大手3社は石油探査開発投資を大幅に縮小している。2013年のピークの4,200億元から、2015年にはすでに2,800億元に下がった。2016年の計画は2,500億元であったが、計画達成状況を見ると、中国海洋石油(CNOOC)を除いて、中国石油天然ガス(CNPC)と中国石油化工(SINOPEC)が1〜9月に完了したのは30%足らずである。こうした状況が続くと、探査開発投資の減少によって生産量も必然的に低下する」と述べた。

 国内の原油生産の減少とは対照的に、原油の輸入と石油製品の輸出が大幅に増加している。1〜10月の石油輸入は前年同期比13.57%増加する一方、石油製品の輸出量は37.4%もの激増になり、すでに昨年通年の輸出量を超えた。この点について、劉克雨研究員は「原油輸入量が大幅に増加しているが、生産した石油製品は国内消費が頭打ちになり、大幅な輸出を余儀なくされている。このことは中国にとって適切なことなどだろうか」と懸念を示す。

 エネルギー先物市場の価格形成機能は脆弱

 石油輸入大国である中国の石油産業は石油価格をめぐる決定権と発言権を拡大するよう一貫して努力してきた。しかし、《2016年中国エネルギー報告》の国内石油市場を対象にした研究によると、中国のエネルギー先物市場の価格形成機能は依然極めて脆弱である。《2016年中国エネルギー報告》の作者である唐葆君北京理工大学エネルギー環境政策研究センター副主任は「先物市場の価格形成機能は極めて弱く、エネルギー企業に有効なリスクヘッジの手段を提供することも難しい。また、中国の石油先物システムは未だ不健全であり、市場プレイヤーのヘッジングのニーズに応えるには程遠い。決済制度、参入制度、契約設計などの面も完備されていない。そのため、取引の流動性が極めて低く、市場参加度も低い」と指摘する。

 そのため、《2016年中国エネルギー報告》は、エネルギー先物市場の監督管理モデルを健全化し、参入基準を引き下げ、条件に適合するエネルギー企業が先物市場に参入するよう奨励することを提言している。

 (網易新聞 11月28日)