中東諸国は米ドル以外の通貨を石油決済通貨とする方向へと傾きつつあり、人民元はその重要な選択肢になっている。一方、「一帯一路」(シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロード)の推進は、エネルギーインフラと連携をめぐる協力や石油・ガスパイプライン等の輸送ルートの安全を守る上で重要な作用を発揮することになろう。中国社会科学院西アジア・アフリカ研究所が発表した《中東黄書:中東発展報告(2015〜2016年)》は、「一帯一路」は中国のエネルギーセキュリティの向上にとって深遠な意義を有すると指摘する。
石油需給関係は中国と中東諸国、特に石油輸出国との間で最も主要な経済貿易協力関係である。中国は中東諸国にとって最大の石油輸出市場であり、2015年の中東の石油総輸出量の17.5%を占めた。また、中国にとっても中東は最大の石油輸入先であり、2015年の中国の石油輸入の中で46%を占めた。
《中東黄書:中東発展報告(2015〜2016年)》の研究グループは次のような認識を示している。中国並びに中東の石油輸出国にとって、双方の石油輸出入をめぐる協力は早くから一般的な貿易問題を超えており、双方の経済の安全に直接関わるものになって、双方の重大な国益が存するところになっている。中国の石油輸入の安全と中東の石油輸出国の石油輸出の安全はコインの裏表のようなものであり、双方の相互依存を切り離して考えることは難しく、中国と中東諸国は一つのエネルギーセキュリティ共同体を形成しつつある。
実際、中国と中東のエネルギーをめぐる連携は近年一段と強化されている。エネルギー生産分野では、中国の石油企業は、「走出去」(対外進出)の必要があり、サウジアラビア、クウェート、イランやイラクなど主要石油・天然ガス生産国の上流分野における外国直接投資に対する制限や禁止を打破しようと傾注している。また、運輸ルートの安全面から見ると、中国と中東のいずれも国際石油・天然ガス輸送ルートの安全を確保することが必須であり、これにはマラッカ海峡を回避できる石油・天然ガスパイプラインや運河など多様で便利な輸送ルートの共同開拓も含まれる。
《中東黄書:中東発展報告(2015〜2016年)》が国際石油価格の見地から、石油輸入国と輸出国がいずれも国際油価の激しい変動を望んでいないとの見方を示していることには特に注意しなければならない。イラン等の諸国は、西側諸国からの一方的な制裁を受けたことで米ドルを石油決済通貨として引き続き使用することは極めて大きなリスクになると見なすようになり、米ドル以外の通貨を石油決済通貨にすることを望んでいる。そして、人民元はその重要な選択肢になる。今後、中国と中東諸国は石油・天然ガスの国際輸送の安全性を共同で維持し、高めるとともに、石油輸出国と輸入国のいずれもが受入れ可能な合理的な石油価格を維持し、米ドル以外の通貨による石油貿易等の決済を模索することになる。そして、これらは全て「一帯一路」の共同建設に向けた双方の努力の方向性にもなる。
「従来のグローバル化では世界が受ける利益はアンバランスであった。利益を受ける国家においても内部の利益は深刻なアンバランスを来していた。例えば、米国のGDPはグローバル化によって倍増したが、1人当たりの所得の中間値には低下が発生し、米国の富の99%は1%足らずの人の手中にある。『トランプ現象』が出現したのはそのためだ」と中国中東学会副会長であり寧夏大学アラブ研究院の李紹先院長は指摘する。今後の動向については、中国は目下「グローバル2.0」を推進しており、「一帯一路」は正に中国が次のグローバル化の歩みについて打ち出している計画に他ならない。中国は今後、次のグローバル化のリーダーになり、そのことは中国のエネルギーセキュリティに対して最も重要な保障になる。
(中国能源網 12月19日)
中東諸国は米ドル以外の通貨を石油決済通貨とする方向へと傾きつつあり、人民元はその重要な選択肢になっている。一方、「一帯一路」(シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロード)の推進は、エネルギーインフラと連携をめぐる協力や石油・ガスパイプライン等の輸送ルートの安全を守る上で重要な作用を発揮することになろう。中国社会科学院西アジア・アフリカ研究所が発表した《中東黄書:中東発展報告(2015〜2016年)》は、「一帯一路」は中国のエネルギーセキュリティの向上にとって深遠な意義を有すると指摘する。
石油需給関係は中国と中東諸国、特に石油輸出国との間で最も主要な経済貿易協力関係である。中国は中東諸国にとって最大の石油輸出市場であり、2015年の中東の石油総輸出量の17.5%を占めた。また、中国にとっても中東は最大の石油輸入先であり、2015年の中国の石油輸入の中で46%を占めた。
《中東黄書:中東発展報告(2015〜2016年)》の研究グループは次のような認識を示している。中国並びに中東の石油輸出国にとって、双方の石油輸出入をめぐる協力は早くから一般的な貿易問題を超えており、双方の経済の安全に直接関わるものになって、双方の重大な国益が存するところになっている。中国の石油輸入の安全と中東の石油輸出国の石油輸出の安全はコインの裏表のようなものであり、双方の相互依存を切り離して考えることは難しく、中国と中東諸国は一つのエネルギーセキュリティ共同体を形成しつつある。
実際、中国と中東のエネルギーをめぐる連携は近年一段と強化されている。エネルギー生産分野では、中国の石油企業は、「走出去」(対外進出)の必要があり、サウジアラビア、クウェート、イランやイラクなど主要石油・天然ガス生産国の上流分野における外国直接投資に対する制限や禁止を打破しようと傾注している。また、運輸ルートの安全面から見ると、中国と中東のいずれも国際石油・天然ガス輸送ルートの安全を確保することが必須であり、これにはマラッカ海峡を回避できる石油・天然ガスパイプラインや運河など多様で便利な輸送ルートの共同開拓も含まれる。
《中東黄書:中東発展報告(2015〜2016年)》が国際石油価格の見地から、石油輸入国と輸出国がいずれも国際油価の激しい変動を望んでいないとの見方を示していることには特に注意しなければならない。イラン等の諸国は、西側諸国からの一方的な制裁を受けたことで米ドルを石油決済通貨として引き続き使用することは極めて大きなリスクになると見なすようになり、米ドル以外の通貨を石油決済通貨にすることを望んでいる。そして、人民元はその重要な選択肢になる。今後、中国と中東諸国は石油・天然ガスの国際輸送の安全性を共同で維持し、高めるとともに、石油輸出国と輸入国のいずれもが受入れ可能な合理的な石油価格を維持し、米ドル以外の通貨による石油貿易等の決済を模索することになる。そして、これらは全て「一帯一路」の共同建設に向けた双方の努力の方向性にもなる。
「従来のグローバル化では世界が受ける利益はアンバランスであった。利益を受ける国家においても内部の利益は深刻なアンバランスを来していた。例えば、米国のGDPはグローバル化によって倍増したが、1人当たりの所得の中間値には低下が発生し、米国の富の99%は1%足らずの人の手中にある。『トランプ現象』が出現したのはそのためだ」と中国中東学会副会長であり寧夏大学アラブ研究院の李紹先院長は指摘する。今後の動向については、中国は目下「グローバル2.0」を推進しており、「一帯一路」は正に中国が次のグローバル化の歩みについて打ち出している計画に他ならない。中国は今後、次のグローバル化のリーダーになり、そのことは中国のエネルギーセキュリティに対して最も重要な保障になる。
(中国能源網 12月19日)