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【エネルギー全般・政治経済】

中国が2017年に「脱生産能力」産業の範囲を拡大へ (17/01/24)
2017/1/24
中国【エネルギー全般・政治経済】

 「今年は鉄鋼と石炭以外にも脱生産能力の範囲を拡大する。生産能力の利用率が低く過剰が深刻な分野も脱生産能力の範囲に入れる」。国家発展改革委員会の徐紹史主任が国務院新聞弁公室のプレス発表会で表明した。

 徐紹史主任の表明は、供給側構造改革を深める年に中国が脱生産能力の深みと範囲の面で新たな打開を実現することを意味する。

 供給側構造改革の1年目の2016年、「三去一降一補」(脱生産能力・脱在庫・デレバレッジ・コスト引き下げ・不足部分の補完)の5大重点任務の一つである脱生産能力が成果を上げ始めた。

 「2016年の鉄鋼の脱生産能力目標は4,500万トン、石炭の脱生産能力目標は2.5億トンであったが、年度任務は前倒しで計画以上の達成ぶりを示した」と徐紹史主任は表明し、2016年末までに鉄鋼の脱生産能力に伴う職員18万人、石炭62万人の合計70万人の配置転換を行ったと述べた。

 脱生産能力の推進に伴い、鉄鋼と石炭産業の経営状況も好転している。鉄鋼工業協会加盟企業の2016年1〜11月の業績は前年同期の赤字から331億元の黒字に転換し、石炭企業の利益は前年同期の2.2倍に増加した。

 「石炭は中国のエネルギー構造の改善と気候変動及び大気汚染管理の公約に関わる。一方、鉄鋼は中国経済の重厚長大傾向の戦略転換と中国経済発展の新たな方向性の構築に関わる。中央政府が石炭と鉄鋼の2つの産業を突破口としたことは、産業構造と生産能力構造の合理化と最適化を推進する上で重要な意義を担っている」と国家管理協同イノベーションセンターの楊枝煌研究員は指摘する。

 脱生産能力の「範囲拡大」の対象になる業種は未だ公表されていないが、専門家の多くは、セメント、板ガラス、船舶、火力発電等が主要対象になると指摘している。なぜなら、こうした従来型産業は生産能力過剰が顕著であり、生産能力利用率が著しく低いからである。また、これらの産業は過去1年間で自主的に減量や既存量の最適化、増量の誘導を進めてきたため、脱生産能力を速やかに推進する基盤を備えているからである。

 「2016年は鉄鋼と石炭の2つの産業を脱生産能力の重点にしたが、このことは他の産業に生産能力過剰が存在しないことを意味するわけではない」と中国人民大学経済学院の劉元春副院長は指摘する。中国の板ガラス、セメント、造船等の従来型産業は生産能力利用率が極めて低く、こうした産業の生産能力過剰が経済に及ぼす影響は基礎的産業ほど深刻ではないものの、中国経済が全面的回復を実現する上で大きな障害になる。

 「脱生産能力の範囲拡大は5大発展理念を実践する重要な現れだ」と楊枝煌氏は指摘する。従来型産業の過剰生産能力を整理することでイノベーションと発展の空間を広げることが可能になるとともに、従来型産業の改造とグレードアップも推進することが出来る。また、産業構成の偏りを改め、産業構造の最適化と協調的な発展も実現出来る。

 (中国能源網 1月24日)