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【石油・天然ガス】

ガソリンはどこに消えた? 中国の1〜4月のガソリン見掛け消費量が初のマイナス (17/07/18)
2017/7/18
中国【石油・天然ガス】

 金聯創のモニタリングデータによると、1〜4月の中国のガソリン見掛け消費総量は4,012.54万トンで、前年同期比0.37%減、初のマイナスが発生した。一方、2011〜16年の1〜4月のガソリン見掛け消費量の伸び率は平均10.42%に達していた。

 近年、ガソリン消費が石油製品消費を牽引し、石油需要の伸びを押し上げていたため、今回の「マイナス成長」は大きな関心を集めている。

 こうしたデータに対して懐疑的な態度を示す人もいれば、「マイナス成長」は好ましい現象であり、代替エネルギーが一席を占めることを意味すると指摘する人もいる。石油は交通・運輸部門の主要エネルギーであり、当該部門で今後とも長きにわたって絶対的優位を占める。ガソリン消費量の「マイナス成長」は偶然の現象なのだろうか。減少したガソリン消費量はいったいどこに消えたのだろうか。

 代替エネルギーは軽視できない

 近年、天然ガス自動車や電気自動車に代表されるクリーン・エネルギー自動車が徐々に世界各国から重視され、急速に発展している。こうした中、業界関係者は以前、電気自動車が未来のガソリン需要を切り崩すことになると表明していた。

 「中国の電気自動車の航続距離が1,000キロに達すれば、ガソリン消費に不可逆的な衝撃を与える」「蓄エネルギー技術の進歩と充電施設の建設に伴い、今後、石油需要の代替が持続的に成長する見込みだ」と卓創資訊の石油製品アナリスト劉孟凱氏は言う。

 国務院が2012年に議決した《省エネ車並びに新エネ車産業発展計画(2012〜2020年)》は、2020年にはピュアEV車とプラグインハイブリッド車の生産能力は200万台に達し、累計生産販売量は500万台を超えるとの予想を示している。200万台の生産能力のうち80%をピュアEV車として試算すると、2020年の新規ピュアEV車は160万台になり、ガソリン363万トンに代替することになる。

 一方、天然ガス自動車への転換も見通し良好とされる。天然ガスと軽油の価格比が0.7以下の場合、LNG燃料の経済性の優位が現れる。今年上半期は天然ガスと軽油の価格比は0.7以下を維持し(0.5〜0.6)、価格比較関係の改善によってガス補給ステーションへの投資とLNG動力車両の生産と販売がともに上昇する。

 その他にも、新しい政策がLNG自動車の発展を助長する。7月4日、《天然ガス利用加速推進意見》が公布された。同意見は、天然ガス車と船舶の発展を加速し、タクシー、長距離大型トラックやゴミ収集、工場区、港湾区、観光地等の作業用やカーフェリー等で重点的に展開するとしている。また、北京・天津・河北など大気汚染重点防止地区は大型ディーゼル車から大型LNG車への転換を急ぐ。

 バイクシェアリングの影響は軽微

 業界関係者の一部は、ガソリン見掛け消費量のマイナス成長はバイクシェアリングの急速な発展によるものと見ているが、実際にはどうだろうか。

 今年5月に発表された《深圳市インターネット自転車発展評価分析報告》によると、今年3月時点で深圳市のシェアリング自転車は53万台、登録ユーザーは1,052万人、1日の使用量は延べ259万人、1日平均のサイクリング走行距離は502万キロになる。うち自家用車の代替が9.8%、タクシーの代替が3.3%であり、合計13%がガソリン消費に代替したことになる。燃油消費を100キロ10リッターとして試算すると、1日当たり48トンのガソリンを節約したことになり、年間では1.7万トンの節約になる。

 全国を見ると、シェアリングバイクの1日平均の走行距離は2キロであり、15%を自動車の代わりに使ったと仮定し、燃油消費を100キロ10リッターとして試算すると、年間24万トンの節約になる。これは中国のガソリン消費量の0.25%に当たる。バイクシェアリング各社が計画通りに自転車を投入すると仮定した場合、2017年のシェアリング自転車は3,665万台になり、ガソリン126.4万トンに代替する。これはガソリン見掛け消費量の1.1%である。

 こうして見てくると、バイクシェアリングには一定のガソリン代替作用があるが、今のところ比率は極めて軽微である。

 多数の業界関係者が本紙記者に指摘したところでは、バイクシェアリングがガソリン消費量に及ぼす影響は差し当たり、考慮に入れるほとではないが、長期的に見ると、もしバイクシェアリングが急速な発展の勢いを維持した場合、ガソリン消費量に対する影響も顕著になる。

 国金証券の石油化学アナリスト郭一凡氏によると、電気自動車、天然ガス車、バイクシェアリング等がガソリン消費に及ぼす影響は日増しに拡大し、省エネ・排出削減も自動車の平均燃油消費の低下を促進する。もっとも、ガソリン消費の伸び率は、以前の9%から、向こう5年間は4〜5%に鈍化するものの、ガソリンは今後も相当長期にわたり、中国の石油需要の増加を牽引する重要なエンジンであり続ける。

 (中国能源報 7月18日)