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米通商法「201条」調査が中国のPV輸出に及ぼす大きな影響 (17/07/27)
2017/7/27
中国【新エネルギー】

 米国国際貿易委員会は米国PV企業Suniva社の申請を受けて、1974年通商法第201条に基づき、米国が輸入する全ての結晶シリコンPV電池(モジュールも含む)に対して保障措置調査を提起すると発表した。「201条」は大統領に対し、外国から輸入する製品の数量が深刻な損害や脅威をもたらす場合、救済措置を取る権限を与えている。「201条」は一般の反ダンピング法規とは異なり、あらゆる国からの輸入を対象とするため、必然的に中国PV製品の対米輸出に対して相対的に大きな影響を及ぼすことになる。

 第1に、中国PV企業の海外生産に影響を及ぼす。米国商務省は2011年と2014年に中国のPV製品に対し反ダンピング調査と反補助金調査を提起し、そのため、中国PV製品の米国におけるシェアは大幅に下がったが、中国のPV企業は前向きに対応し、迂回措置を採ることで、米国へ輸出するPV製品の「ダブルアンチ(反ダンピング・反補助金)」関税を回避しようとした。ここ2年、天合光能、保利協鑫、晶科能源などPV企業の多くはベトナム、タイ、インドネシアなど東南アジアに工場を建設している。然るに「201条」が最終的に承認されると、中国が海外に設けたPV工場も門前払いになり、中国のPV産業に巨大な損失をもたらす。

 第2に、EU等も米国に追随して、連鎖反応が広がることになる。この数年、米国だけでなく、EU、オーストラリア、カナダ、トルコ等の諸国も中国のPV製品に対してダブルアンチ調査を提起した。WTOの規定によると、加盟国の1国が貿易保護調査において補助金措置を認定した場合、他の加盟国も後続調査でこれを援用することが出来る。これまでの例では、米国が「貿易救済」措置を打ち出すと、EU等の諸国も追随している。そのため、EUやオーストラリア等の諸国も中国のPV製品に対して貿易保護調査を展開する可能性がある。

 第3に、調査への対応のため、中国のPV企業の収益が損なわれる。中国PV企業は米国の調査に対応するため、多くの時間と精力を費やすことになり、PV製品の技術開発や生産、販売に集中することが出来なくなる。また、貿易摩擦が拡大すると、中国企業は米国以外の新興市場を敢えて開拓しようとする意欲を失う。PV製品輸出の大幅な減少と米国の高い関税率は、中国のPV産業の過剰生産能力解消にとっても不利であり、一部企業の倒産や大量の失業をもたらす。

 江蘇省無錫検査検疫局はPV輸出企業に対して次のように勧告している。

 (1) 米国の法規を注視して、応訴能力を増強しなければならない。企業が連合して、有利な資料を集め、法規を利用して、力を合わせて共同で対応しなければならない。
  (2) 輸出市場の多元化を進めるとともに、国内の市場ポテンシャルを掘り起こす。「一帯一路」戦略の導きの下で、PV企業は多元化戦略を実施し、「走出去」(対外進出)を加速して、欧米市場から新興国市場へと逐次転向する。同時に国内太陽光発電市場の育成と拡大を図り、輸出に対する過度の依存を引き下げる。
 (3) 技術の革新と向上を進め。転換とグレードアップを加速する。技術革新を強化し、製品構造のグレードアップを推進し、差別化製品の研究開発を進め、独自技術水準を高める。転換とグレードアップを進める中で徐々に拡大強化を図り、欧米等の「ダブルアンチ」に対して能動的に対応する。

 (北極星太陽能光伏網 7月27日)