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【電力】

広東省の天然ガス発電所が全面的に赤字 過半数のガス発電所は運転停止 (08/03/13)
2008/3/13
中国【電力】

 国際天然ガス価格の高騰が続き、広東省の天然ガス発電所は全面的な赤字に陥っている。広東大鵬液化気有限公司(以下、大鵬公司)がオーストラリアと締結した売買契約により調達される天然ガスでは、既存の天然ガス発電所の需要を賄うことが出来ず、一方、国際市場から購入する天然ガス価格はオーストラリアとの契約価格の2〜3倍に上り、そのため、広東省には運転を停止しているガス発電所もある。

 例えば、広州最大の天然ガス発電所である広州珠江天然気発電有限公司では、ガスが十分に供給されていないため、合計78万kWの発電ユニット2基のうち、1基しか運転できない。同社の天然ガスの一部は大鵬公司との契約により供給されているが、その契約量ではすべての発電能力を発揮させることが出来ないのである。また、広州の天然ガス発電所である広州華潤熱電有限公司はすでに運転を停止した。同社は大鵬公司のLNG第1期の契約先ではないので、天然ガスを現物市場から買い入れるしかない。しかし、現物価格はあまりにも高くなっている上、品切れ状態にある。

 こうした状況は広州に限らず、広東省全体で発生している。現在、広東省の天然ガス発電ユニットは300万kWであるが、天然ガス供給の不足と価格高騰のために運転を停止したユニットはすでに半数を超えている。

 広東LNG事業のパイプラインガスのガス源はすべて大鵬公司が運営している。大鵬公司とオーストラリア西北大陸棚天然ガス事業との契約によると、オーストラリアは年間370万トンのガスを供給することになっている。これら輸入天然ガスのうち65%は発電所に供給され、35%は都市ガス用になる。しかし、現在、パイプラインガスが深刻な不足を来たしているため、大鵬公司は都市ガス用への供給を優先している。その上、都市ガス用の卸売価格は発電所向けよりも高いので、資源がタイトになると、発電所の天然ガスの確保は難しくなる。

 大鵬公司が契約した価格は1.6元/m3、一方、国際平均ガス価格は4元/m3、最高で6.3元/m3になり、現在の売電価格で計算すると、1kWhの発電で赤字は少なくとも0.3元以上になる。つまり、天然ガスを利用する発電はほぼ全面的に赤字となり、多くの天然ガス発電所が運転を停止しているのも、このような高いコストを負担できないからである。

 オーストラリアとの契約量は年間わずか370万トンであるが、2010年には広東省の需要量は1,500万トンになる。不足分は国際市場から調達しなければならない。しかし、天然ガス価格がオーストラリア並みの価格に再び下落する可能性は最早ない。

 一方、広東省経済貿易委員会が先日発表した予想によると、3月の広東の電力不足は最高1,200万kWに上る。今年は30年以来の大きな電力不足に見舞われるのである。そのため、広東省は、発電所に対する助成を準備している。珠江デルタの都市で工業用電力価格を引き上げ、値上げした分を天然ガス発電所や石油火力発電所への助成に当てて、これらの発電所がフルに発電できるよう図ることになる。

 (中国能源網 3月13日)