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中国
【エネルギー全般・政治経済】

【論説】中国の石油消費を拡大させている5つの要因 (08/03/13)
2008/3/14
中国【エネルギー全般・政治経済】

 中国は現在、工業化中期の段階にあり、製造業の急成長に伴ってエネルギー消費が急増している。2001〜2006年のGDP平均成長率は9.8%であったが、エネルギー生産の年平均の伸びは9.4%、エネルギー消費の伸びは10.1%に上った。また、石油の需給ギャップは、ここ数年来の石油消費の急速な伸びによるものである。石油消費の急すぎる増加をもたらした原因として、以下の5つの点が挙げられる。

 (1) 都市の生活消費構造の高度化が進み、エネルギー多消費型の活動が顕著になっている。80年代から90年代中期にかけ、冷蔵庫、カレーテレビ、洗濯機など家電製品の普及を主とする消費構造の最初の高度化が進み、90年代後半以降は、住宅、自動車、通信や電子製品の消費、文化・教育分野の消費、レジャーや観光ななどといった消費が新たな焦点となる第2の消費構造高度化が進展した。特に自家用車の保有台数はこの数年で何倍にも増えた。住宅については、2005年の都市住民の1人当たり平均住宅面積は2000年よりも28.9%大きい29.7m2に増え、建築用エネルギーと家庭用エネルギーの消費が急速に拡大した。また、エアコンは、2007年9月末の時点で、都市住民100世帯当たりの保有台数が2000年の3.1倍に当たる94.8台になった。

 (2) 自家用車の増加は当初の予想をはるかに上回った。2003年から2006年にかけて国内の自動車販売台数は年平均100万台のペースで増え、2006年の保有台数は3,697.4万台に達した。2000年比105.2%の増加になる。特に自家用車の保有台数は2,333.3万台で、2000年比202.7%増である。自動車保有台数の急増に伴い、ガソリンと軽油の消費も急激に拡大した。2006年のガソリン消費量は2000年比49.1%増の5,170万トン、軽油は73.5%増の1億1,630万トンとなった。2007年6月の自動車保有台数は5,356万台、うち自家用車が3,239万台になる。

 (3) 都市化が急速に進展し、エネルギー総消費量は急拡大している。市場経済の発展に伴って、大量の農村余剰労働力が都市に流入し、都市化はかつてないスピードで進行している。中国の都市人口は2001年に4.806億人であったのが、2006年には20%増の5.771億人に増加し、総人口に占める都市人口の比率は34.7%から43.9%に上昇した。現在、中国の都市部の1人当たりエネルギー消費は農村の約3倍になる。農村人口が都市へ大量に流入すると、エネルギー消費活動が変化し、1人当たりのエネルギー消費は急増する。また、都市交通用のエネルギーも人口増に伴って急増し、エネルギー消費の急激な拡大をもたらしている。

 (4) 農村の生活方式も都市型のそれへと変化し、農村のエネルギー消費は、非商品エネルギーから商品エネルギーへ次第に移行している。農村の収入増は商品に対する需要の増加をもたらす。増収分の多くは生活支出に当てられ、冷蔵庫、パソコン、オートバイなど耐久消費財の消費が刺激される。そのため、電力需要も拡大する。また、農村の労働力が減少しているため、電力や軽油をエネルギーとする高効率の農業機械を購入する傾向が高まっている。したがって、農村の全面的な発展と現代化によって、農民の生活水準が改善される一方で、より大きなエネルギー需要が生まれているのである。

 都市と農村の消費構造の変化は中国の今後のエネルギー消費と生態環境に重大な影響を及ぼす。生活用エネルギーの急速な拡大は省エネ・排出削減対策にとっても大きな圧力になる。したがって、節約型社会を構築し、生態文明を建設する上で、節約型消費モデルを唱導し、生活面での省エネに留意するとともに、農村地区において省エネ・排出削減の意識を高め、省エネ型の消費行為を奨励することが重要になる。

 (5) 産業構造の調整が全く遅れている。国内経済は依然重化学工業発展段階にあり、第二次産業のGDPに対する寄与度は2002年に44.8%であったのが、2005年には47.5%とむしろ上昇している。特にエネルギー多消費産業の拡大がうまく抑制されていないため、石油等のエネルギー需要の大幅な増加が続いている。資金集約型産業とエネルギー多消費型産業への投資が2000年以降大幅に拡大したため、この間、GDPに対して相対的にエネルギー消費の伸びがあまりにも大きくなったのである。

 (中国石化新聞網 3月13日)