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中国
【石炭】

中国の地域的な石炭需給ギャップが次第に表面化 石炭価格にはさらなる反発の可能性も (18/05/15)
2018/5/15
中国【石炭】

 現在、全国の石炭需給は全体的に平穏である、脱生産能力が加速していること、南方には安全生産の条件を備えない小規模炭鉱が多いことなどで、中国の原炭生産は、資源条件に優れ競争力が高い山西・陝西・内蒙古地区へと徐々に集中が進み、そのため地域的な需給ギャップはますます大きくなるだろう。

 近年、寧夏自治区は国の過剰生産能力解消の全体的な部署に従い、老朽化生産能力と自然保護区内の炭鉱の閉鎖を強めている。2017年末までに合計37ヵ所の炭鉱を閉鎖し、国が通達した炭鉱閉鎖任務を上回る1,327万トンもの生産能力を退出させた。

 しかしながら、寧夏自治区は「西電東送」(西部から東部への送電)の中枢であり、国が指定した火力発電対外送電基地であるため、石炭需要が急速に増加しており、供給不足は絶えず拡大している。2017年の寧夏自治区の原炭生産量は7,645万トン、石炭消費量は1.1億トンであり、3,300万トン超の不足を来した。加えて、神華寧煤400万トン石炭間接液化事業や寧東−浙江送電事業付帯電源事業など、寧夏の石炭資源に依存する事業が2018年に全て稼動すると、新規石炭需要は年間2,000万トン以上に上り、石炭供給は5,000万トン以上不足することになる。寧夏の石炭の安定供給に対して大きな圧迫になる。

 重慶も同じような問題に直面している。脱生産能力の推進や地域協調の不調、上流と下流産業の不均衡など一連の要因が影響して、もともと石炭資源が乏しい重慶市の石炭需給のアンバランスはますます大きくなっている。

 中国煤炭工業協会の姜智敏副会長によると、現在、全国の石炭需給は全体的に平穏であるものの、気候要因、石炭輸送能力や市場予想が短期的な需給バランスに及ぼす影響はますます大きくなっている。石炭火力発電の需要を見ると、全国統一運用発電所(付加の変動に対応できる大型発電所)の1月期の1日平均の石炭消費は644万トンであったが、4月上旬はわずか470万トンになった。その差は174万トンに上り、短期的な変動幅が拡大している。脱生産能力が加速していること、南方には安全生産の条件を備えない小規模炭鉱が多いことなどから、今後一定の間、原炭生産は資源条件に優れ、競争力の高い山西・陝西・内蒙古地区へと徐々に集中し、そのため地域的な需給ギャップがますます大きくなるだろう。

 5月期は、国内の一般炭消費の需要期から不需要期に交代する重要な時期に当たり、大手石炭企業の5月の長期契約量は比較的大幅に減少するものの、一部産炭区の石炭価格やトラック輸送価格が上昇を図り、一方、沿海部の火力発電所の1日当たりの石炭消費が高止まりし、港湾の在庫の増加が頭打ちになる。そのため、構造的な品不足が拡大し、特に山西省が最も逼迫する。

 中泰証券のアナリスト李俊松氏の見方によると、5月が過ぎると徐々に夏季の需要期に入って、一般炭価格には季節的な反発が生じる見込みであり、向こう3ヵ月、石炭価格は上昇傾向を呈すると予想される。

 (中国煤炭網 5月15日)