国家能源局は、各地方政府間、エネルギー企業間の公平性を確保するため、透明な部門として、出来る限り許認可事項を減らし、サービスを重視するようにする。新任の張国宝局長はこのように表明した。 国家能源局の発足 国家能源局は、国家発展改革委員会能源局、国家能源指導小組弁公室、国防科工委員会において原子力発電を管掌していた系統二司及び発展改革委員会内部のエネルギー産業関連部局を統合したものである。2名の国家能源局副局長には発展改革委員会能源局長であった趙小平と国防科工委員会で原子力を管掌する副主任を務めていた孫勤が就任した。 この数年、エネルギー価格や産業独占などの問題もあって、統一的なエネルギー指導機関設立の声が高まっていた。そうすることで、エネルギー産業管理の分散や政策体系の不安定といった弊害を正し、石炭、電力、石油、新エネルギー等の各分野の協調を図ろうとするものである。 しかし、今回の行政機構改革が打ち出されるや、以前と代わり映えしないのではないかという声が業界から上がっていた。こうした見方に対し、張国宝局長は、新しいエネルギー指導機関は大きく様変わりしたと言う。 価格改革の行方 国務院が定めた国家能源局の主要な機能は、「戦略計画」と「法規」である。価格決定権については、引き続き国家発展改革委員会価格司が握っている。しかしながら、国家能源局はエネルギー価格改革及び価格決定等の問題に対して比較的大きな影響力を有している。国家能源局は価格決定権を有してはいないが、価格問題について提案と意見を提出することが出来ると、張国宝局長は強調する。 張国宝局長は最近の華南地区における石油製品の逼迫を例に挙げ、「石油不足は実際には価格問題だ。国際油価が高止まりする中で、関係者は石油製品価格を引き上げたいと考えているが、石油価格は経済運営の様々な面に波及するため、慎重に考慮せざるを得ないのだ」と指摘する。 主管部門は当初国内のエネルギー価格と国際価格の連動を検討していたが、激化するインフレを前にして、この構想は今や停滞に陥っている。国家能源局がこの構想を今後どのように推し進めていくのかは、万人の注目するところである。2005年に国家発展改革委員会は、研究報告を作成して、石油、天然ガス、石炭、電力及び再生可能エネルギーを対象とする詳細な価格改革の構想と目標を打ち出したが、その報告書を作成したリーダーが趙小平であった。 価格改革は根本的な問題であり、国家能源局とそのリーダーが真価を問われるのは、正にこの問題をめぐってであろう。 国家能源局の新行政 3月23日、就任早々の張国宝局長は、エネルギー構造調整を強化し、原子力発電、風力発電、水力発電等のクリーン・エネルギー、高品質エネルギーを積極的に展開することは焦眉の急であると述べた。 昨年末、発電用石炭の逼迫により、多くの省において広い範囲で停電が発生し、さらに今年1月に入ると、大雪災害に見舞われた地区では、電力供給の中断と石油製品の払底が生じ、そのため運輸まで中断された結果、発電用石炭の逼迫をさらに激化させるという悪循環を招いた。張国宝局長は、この事態によって中国のエネルギー供給の不合理性が露になったと言う。中国のエネルギーは石炭が主体であり、しかも長距離輸送を要するため、需給は常に脆弱なバランスの上にかろうじて成り立っている。 しかし、エネルギー需要が日増しに拡大し、国際石油価格の高騰が続くという内外環境の中で、依然として旧来の道を歩んでいては、問題はますます深刻の度を加えることになる。発展改革委員会の予測によると、2010年に中国のエネルギー需要は25.9〜28億tce(標準炭換算トン)になる。また、2008年2月の時点で中国の石油対外依存度は50%に達している。 張国宝局長は、原子力発電中長期開発計画の中で、2020年の電力総設備容量に占める原子力発電の比率の目標を5%に引き上げるよう検討している。また、2010年には風力発電設備容量を2,000万kWとし、2020年までには水力発電以外の再生可能エネルギーが占める比率を現在の1%足らずから6%に引き上げるのである。 国家能源局は中国のエネルギー戦略においてクリーン・エネルギーの位置づけを突出させることで、中国のエネルギー政策システムの安定を図っている。エネルギー産業は投資額が大きく、サイクルが長く、相互に代替可能であるため、安定した政策と目標は上流と下流の全体的な産業連鎖の発展にとって欠かせない。 --------------------------------------------- 張国宝…国家発展改革委員会副主任、国家能源局長。1944年生まれ。西安交通大学機械工程系修士卒業後、機械部、国家計画委員会電子局、投資司等に勤務。1999年、国家計画委員会(国家発展改革委員会)副主任に就任以来、一貫してエネルギー行政を担当。電力、民航、電信の3大体制改革の立案に参加。電力事業を主管した8年間で中国の電力設備容量は2.8億kWから7.13億kWに拡大した。また、大型風力発電事業の建設を主張し、2007年末には風力発電累計容量は605万kWになり、2007年だけで340万kWが運転開始。英語、日本語、ロシア語に堪能。 (中国能源網 3月31日)
国家能源局は、各地方政府間、エネルギー企業間の公平性を確保するため、透明な部門として、出来る限り許認可事項を減らし、サービスを重視するようにする。新任の張国宝局長はこのように表明した。
国家能源局の発足
国家能源局は、国家発展改革委員会能源局、国家能源指導小組弁公室、国防科工委員会において原子力発電を管掌していた系統二司及び発展改革委員会内部のエネルギー産業関連部局を統合したものである。2名の国家能源局副局長には発展改革委員会能源局長であった趙小平と国防科工委員会で原子力を管掌する副主任を務めていた孫勤が就任した。
この数年、エネルギー価格や産業独占などの問題もあって、統一的なエネルギー指導機関設立の声が高まっていた。そうすることで、エネルギー産業管理の分散や政策体系の不安定といった弊害を正し、石炭、電力、石油、新エネルギー等の各分野の協調を図ろうとするものである。
しかし、今回の行政機構改革が打ち出されるや、以前と代わり映えしないのではないかという声が業界から上がっていた。こうした見方に対し、張国宝局長は、新しいエネルギー指導機関は大きく様変わりしたと言う。
価格改革の行方
国務院が定めた国家能源局の主要な機能は、「戦略計画」と「法規」である。価格決定権については、引き続き国家発展改革委員会価格司が握っている。しかしながら、国家能源局はエネルギー価格改革及び価格決定等の問題に対して比較的大きな影響力を有している。国家能源局は価格決定権を有してはいないが、価格問題について提案と意見を提出することが出来ると、張国宝局長は強調する。
張国宝局長は最近の華南地区における石油製品の逼迫を例に挙げ、「石油不足は実際には価格問題だ。国際油価が高止まりする中で、関係者は石油製品価格を引き上げたいと考えているが、石油価格は経済運営の様々な面に波及するため、慎重に考慮せざるを得ないのだ」と指摘する。
主管部門は当初国内のエネルギー価格と国際価格の連動を検討していたが、激化するインフレを前にして、この構想は今や停滞に陥っている。国家能源局がこの構想を今後どのように推し進めていくのかは、万人の注目するところである。2005年に国家発展改革委員会は、研究報告を作成して、石油、天然ガス、石炭、電力及び再生可能エネルギーを対象とする詳細な価格改革の構想と目標を打ち出したが、その報告書を作成したリーダーが趙小平であった。
価格改革は根本的な問題であり、国家能源局とそのリーダーが真価を問われるのは、正にこの問題をめぐってであろう。
国家能源局の新行政
3月23日、就任早々の張国宝局長は、エネルギー構造調整を強化し、原子力発電、風力発電、水力発電等のクリーン・エネルギー、高品質エネルギーを積極的に展開することは焦眉の急であると述べた。
昨年末、発電用石炭の逼迫により、多くの省において広い範囲で停電が発生し、さらに今年1月に入ると、大雪災害に見舞われた地区では、電力供給の中断と石油製品の払底が生じ、そのため運輸まで中断された結果、発電用石炭の逼迫をさらに激化させるという悪循環を招いた。張国宝局長は、この事態によって中国のエネルギー供給の不合理性が露になったと言う。中国のエネルギーは石炭が主体であり、しかも長距離輸送を要するため、需給は常に脆弱なバランスの上にかろうじて成り立っている。
しかし、エネルギー需要が日増しに拡大し、国際石油価格の高騰が続くという内外環境の中で、依然として旧来の道を歩んでいては、問題はますます深刻の度を加えることになる。発展改革委員会の予測によると、2010年に中国のエネルギー需要は25.9〜28億tce(標準炭換算トン)になる。また、2008年2月の時点で中国の石油対外依存度は50%に達している。
張国宝局長は、原子力発電中長期開発計画の中で、2020年の電力総設備容量に占める原子力発電の比率の目標を5%に引き上げるよう検討している。また、2010年には風力発電設備容量を2,000万kWとし、2020年までには水力発電以外の再生可能エネルギーが占める比率を現在の1%足らずから6%に引き上げるのである。
国家能源局は中国のエネルギー戦略においてクリーン・エネルギーの位置づけを突出させることで、中国のエネルギー政策システムの安定を図っている。エネルギー産業は投資額が大きく、サイクルが長く、相互に代替可能であるため、安定した政策と目標は上流と下流の全体的な産業連鎖の発展にとって欠かせない。
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張国宝…国家発展改革委員会副主任、国家能源局長。1944年生まれ。西安交通大学機械工程系修士卒業後、機械部、国家計画委員会電子局、投資司等に勤務。1999年、国家計画委員会(国家発展改革委員会)副主任に就任以来、一貫してエネルギー行政を担当。電力、民航、電信の3大体制改革の立案に参加。電力事業を主管した8年間で中国の電力設備容量は2.8億kWから7.13億kWに拡大した。また、大型風力発電事業の建設を主張し、2007年末には風力発電累計容量は605万kWになり、2007年だけで340万kWが運転開始。英語、日本語、ロシア語に堪能。
(中国能源網 3月31日)