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EU調査の中国企業、ルーマニアの太陽光発電計画から撤退
2024/5/13
その他地域のエネルギー

 AFPの報道によると、欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は13日、EUによる外国補助金調査が開始したことを受けて、中国資本の太陽光パネルメーカー2社がルーマニアの公共調達を巡る入札から撤退したと発表した。

  EUは、温室効果ガスの排出量削減に向けて、欧州の再エネ増強を図ると同時に、安価な中国の風力・太陽光技術への過度な依存状態から脱却しようとしている。さらに言えば、EUは増大する中国と米国からの脅威から欧州の産業を守りたいと考えており、中国政府の補助金を受給した疑いのある中国企業に対する調査を複数開始している。

  欧州委員会は今年4月、EU域内企業の利益が損なわれた疑いがあるとして、中国政府の補助金を受給した疑いのある2つの企業連合(太陽光パネル大手ロンジソーラーと重電大手の上海電気集団の子会社が関わるコンソーシアム)に対する調査を開始した。

  中国資本企業の入札撤退を受けて、同委員会は「内部調査を終了する」と述べた。この調査は昨年施行された新規則に基づいて開始され、外国政府による補助金がEU域内の公正な競争を損なうことを防ぐことを目的としている。

  欧州委員会のティエリー・ブルトン委員(域内市場・産業・デジタル単一市場担当)は、「我々はCO2排出量と光熱費を削減に向けて、太陽光パネルの設置に巨額を投じているが、エネルギー安全保障、産業競争力、欧州の雇用を犠牲にして取り組みが行われるべきではない」と述べた。同氏はさらに、新規則により、「欧州ビジネスに参入する外国企業は、公正な競争と透明性に関する我々の規則を遵守すること」が求められると付け加えた。

  一方、EUで事業展開する中国企業が構成する欧盟中国商会(CCCEU)は、この規則は「経済的強制手段」であり、中国企業にとっては「ビジネス上、撤退以外の賢明な選択肢はない」と非難した。

  今回調査対象となった2つの企業連合の一つには、ルーマニアのEnevoグループと中国の親会社Longi Green Energy Technology(ロンジ)のドイツ子会社が含まれる。もう一方のコンソーシアムは 2つの子会社で構成されており、いずれも親会社は中国の国有企業である上海電気グループである。2つの企業連合はルーマニアでソーラーパークの設計・建設・運営を申請しており、一部はEUの資金で賄われていた。契約額は推定約3億7,500万ユーロ(4億500万ドル)。

  欧州は海外の太陽光パネルに大きく依存しており、EUによると、欧州のパネルの97%以上が主に中国から輸入されているという。実は、中国製の太陽光パネルを巡る摩擦は10年前から続いている。欧州メーカーの訴えを受けて、EUは2013年に太陽光反ダンピング(不当廉売)関税を課したが、5年後に廃止された経緯がある。

(France24 5月13日)