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米国バイデン政権の主力水素プロジェクト、地域社会が強く反対
2024/6/27
その他地域のエネルギー

 フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)の6月23日付け報道によると、米国のバイデン政権の7つの水素ハブプロジェクトの一つである、アパラチア水素ハブ(ARCH2:Appalachian Regional Clean Hydrogen Hub)が、地元の強い反対を受けて、今後の見通しがたたなくなっているという。「グリーンへの移行」の鍵を握るとされる水素技術の導入の難しさが浮き彫りになった。

  ウェストバージニア州、オハイオ州、ペンシルベニア州にまたがるARCH2では、同地域が天然ガス生産・貯蔵・輸送インフラが整っていること、エネルギー関連の労働力が充実していることなどの強みを生かして、ブルー水素の生産・利用・輸送を軸としたプロジェクトを進める予定。最終需要からの二酸化炭素(CO2)排出量を毎年2,500万トン削減し、バイデン政権が掲げる2050年カーボンゼロ目標達成に貢献することを目指している。

  ARCH2は、独立系応用科学技術研究機関のバテル記念研究所が主導し、天然ガス生産会社のEQT、クリーンエナジー事業を得意とするGTIエナジー、エネルギー技術コンサルティング会社のアレゲニー・サイエンス&テクノロジー、TRCなどがプロジェクトの管理をサポートする。また、国立エネルギー技術研究所が支援するほか、地域のエネルギー企業など15社がパートナー企業として参加する。

  しかし、ARCH2に関しては、環境への影響やビジネスとして成立するかなどの疑問が呈され、地元コミュニティや環境保護団体が強く反対している。先月、50以上の地元環境団体が、米国エネルギー省(DOE)に対し、より明確な情報が得られるまでARCH2プロジェクトの交渉を一時停止するよう書簡で要請した。スタンフォード大学とコーネル大学の研究によると、ブルー水素の排出量は、熱を得るためにガスや石炭を燃やす場合よりも20パーセント多いという。


(Financial Times 6月23日)