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リビアで原油生産の混乱続く、中銀総裁人事等巡る東西政府対立で
2024/9/2
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 ブルームバーグ(Bloomberg)の8月31日付報道によると、東西に国が分裂し、混乱状態が続くリビアでは、産油量が正確に把握できない状況に陥っている。東部政府による先週の生産停止命令を受けて、主要拠点1カ所の産油量が一層削減されたが、一方では、3カ所の油田に徐々に生産再開するよう指示が出されている。

 複数の関係者が匿名で明らかにしたところによると、日量14万5,000バレルの生産能力を有するサリール油田はすでに生産を再開し、メスラとナフーラの生産施設も再開指示を受けたといわれる。

 これらの生産施設を運営するアラビアン・ガルフ・オイルによる一連の指示に関する説明はないものの、関係者によると、再開後に生産された石油は輸出向けでなくリビア国内の製油所や発電所に供給される可能性が高いという。

 リビアでは巨額のエネルギー収入を管理する中央銀行の総裁人事を巡り、東西の政府が対立しており、西部政府による中銀総裁更迭の決定を受けて、東部政府は8月26日に石油生産の全面停止を発表した。この1週間で産油量は日量約45万バレルと、半分未満に減少した。

 操業停止命令前の産油量は日量約100万バレルで、その大半は東部で生産されていた。アラビアン・ガルフ・オイルの3油田の操業が完全に再開されれば、日量約30万バレルが回復する見込み。

 石油生産停止が発表された8月26日には、ロンドンの原油相場は急伸して1バレル=80ドルを上回ったが、その後は需要を巡る懸念により、同月30日には79ドルを割り込んだ。

 国連は東西政府の対立解消に向けて、当事者に働き掛けていることを明らかにしたが、交渉は長期化する可能性がある。

(Bloomberg 8月31日)