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【エネルギー全般・政治経済】

世銀副総裁・林毅夫「中国は労働集約型産業をさらに発展させるべき」 (08/04/03)
2008/4/4
中国【エネルギー全般・政治経済】

 世界銀行副総裁兼首席エコノミストの林毅夫氏は2日、中国の収入格差問題とマクロ経済についての講演において、中国の現在の収入格差は、所得再分配の方式では解決出来ないと指摘し、労働集約型産業をさらに発展させるべきであると強調した。

 林毅夫氏は、現在、社会的にも関心の高い中国の収入格差問題について、多くの人々が直接的な解決手段になると考えている所得の再分配、すなわち富者のカネを政府に納めさせてから低所得者層に分配するようなやり方では、事実上、問題を解決することは出来ないと述べた。林毅夫氏の分析によると、富者に対する増税の形でそのカネを政府が取り立てて国庫に入れるようになれば、富者は起業や経営努力を怠り、経済成長は減速し、雇用機会もますます少なくなる。貧者の増収は雇用に頼るしかないが、もし雇用機会がなくなるようなことになれば、貧者こそが最大の被害者になる。

 そのように指摘した上で、林毅夫氏は、収入の格差を是正する最良の方法は、経済成長過程において貧者の収入を富者よりも速いペースで増やすことであると指摘する。すなわち、富者が増収を実現するとともに、貧者の増収のペースが富者のそれを上回るような仕組みを作るのである。

 また、現在多くの人々は、中国企業は労働集約型から技術集約型に転換しなければならないと考えているが、これに対し、2日の講演の中で林毅夫氏は、労働集約型産業こそが中国の比較優位であり、より一層それを発展させるべきであると、意表を突く発言を行った。

 林毅夫氏によると、先進諸国と比較した場合、中国の労働力は相対的に多くかつ安いが、資本は相対的に不足している。そうしたところから、労働集約型産業を一層発展させることが必要であり、労働集約型産業こそが、国際間において中国が最も大きな競争力を発揮できる生産様式に当たる。

 また、労働集約型産業を発展させることで、より多くの雇用機会が生まれ、その結果、低所得者層は十分な雇用機会が与えられて、経済成長の果実を享受出来るようになる。産業構造の高度化を進めるのは、経済成長に伴って労働力が不足に転じてからであると林毅夫氏は言う。

 (広州電台 4月3日)