1. HOME
  2. 中国 【石油・天然ガス】

中国
【石油・天然ガス】

中国 石油ガス探査開発と都市ガスで外国投資制限を撤廃 (19/06/30)
2019/6/30
中国【石油・天然ガス】

 G20大阪サミット閉幕の翌日、中国は開放を拡大する新たな措置を発表した。国家発展改革委員会と商務部は6月30日、「外商投資参入特別措置(ネガティブリスト)」2019年版と「外商投資奨励産業リスト」2019年版を公布し、7月30日から船舶代理、都市ガス、映画館、付加価値通信、石油ガス探査開発等の分野で制限をより一層緩和するかもしくは撤廃することにした。ネガティブリスト以外の外国投資に対しては、国内資本と外資の一致原則が適用され、内国民待遇が供与される。

 石油・天然ガス探査開発を合弁・協力に限るとの制限は撤廃

 従来の外商投資産業指導リスト(2017年改訂)では、石油と天然ガスの探査と開発は「外商投資奨励産業」に入ってはいたものの、2017年版と2018年版の外商投資参入特別管理措置の制約により、石油・天然ガス(炭層ガス、オイルシェール、オイルサンド、シェールガスは除く)の探査と開発は中国企業との合弁と協力に限定されていた。これまで外資系石油企業が参加してきた石油ガス事業の多くは探査開発技術の難度が極めて高い事業であった。

 2018年には自由貿易試験区のパイロット試験で上述の制限は撤廃され、2019年版のネガティブリストの公布に到って、制限は完全に削除されることになった。

 中国の今回の開放措置について、多国籍石油ガス企業はポジティブな評価を下している。「1年ぶりに中国政府は再び外資参入ネガティブリストを改訂した。中国政府が断固として対外開放を拡大する決心であることが見て取れた。我々は大いに鼓舞されている」とBP中国法人の董事長(会長)兼総裁の楊筱萍氏は澎湃新聞の取材に対して述べ、今回の制限撤廃により、外資も含む多くの市場プレイヤーを石油ガス資源探査開発に引き入れ、市場を活性化し、公平で開放的な参入環境を創出することになると指摘、中国国内の石油ガス資源の探査開発をより一層強化し、技術の進歩を促すとした。また、「天然ガス関連分野に対する参入の開放は中国における天然ガスというよりクリーンなエネルギーの発展をさらに推し進めることになり、中国の低炭素への転換を促進し、大衆により多くのクリーン・エネルギーをもたらす」とした。

 BPグループの中国における事業には石油ガス探査開発、石油化学製品の生産と販売、航空燃料の供給、石油製品の小売、潤滑油、石油ガスの供給と貿易、LNGターミナルとガスパイプライン幹線及び化学工業技術のライセンスなど多岐にわたる。特にLNG産業ではBPは中国のLNGターミナル事業に参加している唯一の外資企業であり、中国にとって主要なLNG長期契約サプライヤーでもある。

 人口50万人以上の都市ガスパイプラインは中国側の支配に限るとの制限を撤廃

 石油ガス探査開発以外にも、都市ガスに対する外国投資も徹底的に開放される。2019年版ネガティブリストは、人口50万人以上の都市ガスパイプラインと熱力パイプラインは中国側が経営支配しなければならないという制限を撤廃した。

 卓創資訊の天然ガス産業上席アナリストである劉広彬氏は澎湃新聞の取材に対し、次のように分析した。ネガティブリストの制限撤廃は何よりも外資企業の中国都市ガス分野への進出に一定の利便をもたらす。また、香港に上場したり、海外に登記したりしている国内の大手都市ガス集団にとっても同様である。近年、中国の天然ガス市場化改革が加速するにつれて、末端ユーザーのガス使用コストの低下傾向が鮮明になっており、都市ガス企業の経営収益はすでに大幅に下がっている。こうした環境の中、一部都市ガス企業が経営を譲渡したり、投資家を引き入れる可能性もある。もっとも、国内都市ガス分野への外資参入制限が市場構造に及ぼす影響は限定的なものになる。「都市ガス特別許可経営権を囲い込む時代はすでに終わっており、良好な都市ガス事業はすでにパイの分配が終わっている」からである。

 近年、石油・天然ガス分野で外資参入を緩和する動きが目立つ。2018年6月、国家発展改革委員会と商務部は「外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)」2018年版を公布し、その中で、外資のサービスステーションの建設と経営件数及び持ち株比率についての内容を削除した。それまでは中国のサービスステーション市場に参入しようとする外資企業は中国企業と合弁企業を設け、中国側が経営支配することを受け入れるしかなかった。2018年の制限撤廃により、国際石油企業が中国でサービスステーションを開設するに当たって「シーリング」はなくなり、BPやシェルなど外資系石油企業は次々と中国でサービスステーションを増設する計画を発表している。

 加えて、中国が絶えず開放拡大のシグナルを発していることを受けて、エクソンモービルは昨年、100億ドル出資して広東省に単独出資の大型石油化学事業を建設すると発表した。また、ドイツの化学大手BASFも100億ドル投じて広東省湛江に単独出資の精密化学工業コンビナートを建設すると発表した。

 (澎湃新聞 6月30日)