7月1日、国家発展改革委員会はウェブサイトで「蓄エネルギー技術と産業発展促進に関する指導意見」をさらに具体化する措置として、2019−2020年行動計画を発表した。行動計画は先進的蓄エネルギー技術の研究開発を強化し、技術的ボトルネックを集中的に克服して、中国の蓄エネルギーを向こう5〜10年かさらに長期にわたって国際先端水準に位置付けるようにしなければならないとしている。
　
　行動計画は国家能源局、国家発展改革委員会、科学技術部、工業情報化部の4省庁が6月25日に連名で通達した。

　「蓄エネルギー技術と産業発展促進に関する指導意見」は国家発展改革委員会、財政部、科学技術部、工業情報化部、国家能源局が2017年に連名で公布したものであり、向こう10年間、2つの段階に分けて蓄エネルギー産業関連工作を推進するとしていた。第1段階では蓄エネルギーの研究開発実証から商業化初期への移行を実現し、第2段階では商業化初期から大規模化に向けた転換を実現する。

　今回の行動計画は6項目16ヵ条からなる。技術研究開発の強化、対応する政策整備、事業によるデモンストレーションと応用の推進や標準化体系の確立等の側面を含み、次の段階における蓄エネルギー産業工作の方向性を指し示している。

　行動計画は今後5〜10年、中国の蓄エネルギー技術を国際先端水準に位置付けるようにしなければならないとしつつ、次のような要求も提示している。

• 蓄エネルギーの研究開発と事業の実験検証を強化する。大容量の圧縮空気蓄エネルギーなど重要先進技術プロジェクトの建設を重点的に推進する。100MW圧縮空気蓄エネルギー事業の実験・検証・実証を推進する。
• 蓄エネルギー産業のスマート化に向けたグレードアップと蓄エネルギー初期設備の応用普及を引き続き推進する。
• 蓄エネルギーセキュリティのキャパシティ・ビルディングを向上させ、電源側において反応速度と安定性が高く随時起動の能力を備える蓄エネルギーシステムを採用することを検討する。電力グリッド側では大容量で反応速度が高い蓄エネルギー技術の採用を検討する。

　また、行動計画は次のような諸々の対策を提示している。

• 関連促進政策を実行に移す。電力体制改革を推進し、電力の市場化取引の仕組みを完備する。
• 電力グリッド側の蓄エネルギーの発展を規範化し、電力グリッド側の蓄エネルギーの計画と建設の原則を明確にする。事業投資回収メカニズムを研究し、電力系統における蓄エネルギーの健全で秩序ある発展を規範化し誘導する。
• 蓄エネルギー事業の届出制を確立する。「蓄エネルギー技術と産業発展促進に関する指導意見」の要件に従い、地方の実情に合わせて地方届出機関を指定し、当該機関が届出の流れを確立し関連規定を策定するよう督励する。企業が蓄エネルギー事業の届出を行うよう指導する。
• 蓄エネルギー事業による実証と応用を推進する。電力系統への再生可能エネルギーの大規模な受入、分散型発電、マイクログリッド、ユーザーサイド、フレキシブル電力グリッド、電力市場建設やエネルギーインターコネクション等の分野で蓄エネルギーの実証応用を推進する。
• 蓄エネルギー国家電力実証事業の建設を前向きに推進する。大連フロー電池蓄エネルギーステーション、江蘇圧縮空気蓄エネルギーステーション及び甘粛ドメイン大規模電池蓄エネルギーステーションの建設工作を重点的に推進する。
• 蓄エネルギーと分散型発電並びに集中型新エネルギー発電との複合的応用を推進する。ITや人工知能など最先端テクノロジーと再生可能エネルギー、蓄エネルギーの融合に向け研究と模索を進める。
• 蓄エネルギー電力系統保障安全実証事業の建設を展開する。電力グリッド側は蓄エネルギー電源を重度自然災害時における最低保障電源とし、ユーザー側では重要ユーザーの蓄エネルギー応用実証事業の建設を展開する。
• 蓄エネルギー施設が電力補助サービス市場に参加するよう奨励する。
• 揚水式蓄エネルギーの発展を推進する。揚水発電所の立地先選定計画を調整するとともに、海水揚水発電所の建設を模索、研究する。
• 新エネ車車載電池の蓄エネルギー化を推進する。充電施設と電力グリッドのインタラクション等の研究を展開し、駐車・充電一体化施設の建設を引き続き推進する。
• 蓄エネルギー標準体系を完備する。蓄エネルギー標準化技術組織を健全化し、国際的に連動し蓄エネルギーシステムと設備の全ライフサイクルをカバーして、相互に支えあい、ともに発展する標準体系を確立する。

　（澎湃新聞 7月1日）