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【石炭】

10億豪ドル超の豪州炭が中国の港で通関待ち (19/07/19)
2019/7/19
中国【石炭】

 Plattsのデータによると、約1,500万トン、10億オーストラリアドル超の豪州産一般炭が中国の通関を待っている。2月からの通関処理の遅滞が緩和された兆しは見られないということである。

 Plattsのアジア一般炭シニアエディターであるMichael Cooper氏は「一般炭市場関係者は中国政府の海運石炭輸入政策にいかなる変化も未だ見られないと表明している。オーストラリア原産のものも含め石炭は過去数ヵ月にわたり中国の港湾で長期間滞っている」と明かした。

 Michael Cooper氏によると、中国の港湾に滞留している豪州炭は現在100隻相当、1隻15万トンの貨物を積載するケープタウン型貨物船である。ニューキャッスルの一般炭取引価格は現在トン当たり約75ドルになる。今年2月から豪州炭の通関先延ばしは50日に達している。中国外交部は環境面で石炭の検査を行う必要があると表明しているが、通関処理の遅延はオーストラリアの政策に対する中国の不満から来ているというのが大方の見方である。これにはオーストラリアが昨年、中国通信大手ファーウェイの5Gネットワークの設備提供を禁止したことも含まれている。

 石炭市場関係者は5月のオーストラリアの総選挙後に中国の豪州炭通関遅延が緩和されるのではと期待していたが、Plattsの最新データは、問題がなおも続いていることを示している。

 また、中国は石炭輸入総量にも注目している。経済の減速に加え、環境保護を理由に石炭火力発電ではなくガス発電への転換を推進しているからである。中国は今年第4四半期中に全ての輸入炭に対してより厳格な規制を適用するよう検討している模様である。総輸入量が非公式の年間輸入枠を超えるのはほぼ間違いないからである。

 12月から輸入規制にも関わらず、中国が昨年輸入した一般炭と原料炭は2.81億トンに上り、前の年に比べ3%以上増加した。

 中国の発電用石炭の在庫が「溢れている」との報道もある。中国東南部の港湾では「荷揚げのための空間を使い果たした」とのことである。

 近年、国内石炭市場の調整、石炭価格の安定、石炭需給バランスの確保などの面で輸入炭は徐々に重要な手駒になりつつある。

 過去5年間の輸入統計を見ると、中国の石炭輸入は「V字型」の変化を示している。2013年の中国の石炭輸入は3.27億トンに達したが、その後2年連続で低下し、2014年は2.9億トン、2015年は2.04億トンに下がった。わずか2年で1億トン以上減少したことになる。しかし、2016年の輸入量は大幅に回復し、2.55億トン、前年比25.2%増になった。2017年は石炭輸入政策の調整により、伸び率は6.1%に下がったものの、輸入総量は2.71億トンに達していた。2018年はさらに2.8億トンに上昇し、前年比3.9%の増加となった。

 中国税関総署の最新統計によると、2019年1〜6月の石炭輸入は1億5,448.6万トン、前年同期比5.8%の増加になった。下半期の輸入も上半期並みになれば、今年の輸入量は3億トンを突破するだろう。

 某石炭アナリストは石炭輸入が増加した原因について、石炭の供給側構造改革の持続的推進によって国内炭の供給が不足し、輸入炭需要が高まったと指摘する。

 2016年以降、石炭輸入政策の調整は主に石炭産業の供給側構造改革と石炭産業の苦境脱却に追随してきた。石炭過剰生産能力の淘汰により、石炭価格は上昇し、石炭産業は徐々に回復した。同時に、供給側構造改革の全体的要請に考慮する形で、輸入炭に対する規制が次第に強化され、調整方式は時期的な規制から年間総量規制に変化した。

 輸入炭規制のもう1つの原因は炭質である。2015年に施行された「商品炭品質管理暫定弁法」は輸入炭の検査基準と手続きを厳格化するよう求めている。しかしながら、石炭輸入量の大幅な増加が国内炭需要を圧迫し、脱生産能力や減量化生産による石炭供給改善の政策効果を一定程度弱め、国内炭市場の需給ギャップを激化させることになった。そのため、石炭輸入政策を適時引き締め、質の低い輸入炭を制限する必要性が高まったのである。

 2019年に入り、石炭の供給側構造改革は全面的に構造的脱生産能力と系統的な優良生産能力の増産という新たな段階へと入った。新規生産能力が急速に稼動することで、先進的生産能力の増産規模が老朽化生産能力の淘汰規模を上回り、2019年の石炭生産量は37億トンを超える見込みである。こうした背景の中、国内炭市場炭価格を調整し石炭需給バランスを保障するツールとしての輸入炭に対しては政策的な引き締めも予想される。

 (中国能源網 7月19日)