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中国
【原子力】

米国が中広核をブラックリストに指定 (19/08/15)
2019/8/15
中国【原子力】

 米国政府は8月14日、中国企業に対する新たな制裁措置を発表した。今回の制裁は原子力発電産業を対象とし、中広核集団とその子会社3社をエンティティリストに入れて、米国企業と中広核の協力を禁止する。

 米国政府は今年に入ってから2回にわたって中国企業を制裁している。第1回は5月16日にファーウェイをエンティティリストに入れ、6月末にはいったん制裁緩和を発表したが、最近、米国商務省は制裁を緩和する可能性は低いと表明した。第2回の制裁は中科曙光、天津海光、成都海光集成電路、成都海光微電子技術、無錫江南計算技術研究所のスパコン関連企業4社が対象になった。

 今回制裁対象になった中広核は中国最大、世界第3位の原子力発電企業であり、中国第2位のクリーン・エネルギー企業でもある。2019年7月末時点の中広核の稼動中の原子力発電設備は23基、設備容量は2,539万kW、建設中は5基、635万kWになる。

 但し、米国が中広核を制裁しても、中国の原子力発電の発展に何ら影響することはない。中国はカネを出して米国ウェスチングハウスのAP1000原子力発電技術を導入したが、米中間の合意に基づき、AP1000をベースに改良を加えて国産第三世代原子力発電技術「国和一号(CAP1400)」を生み出した。「国和一号」は出力がAP1000よりも大きい先進パッシブ加圧水型炉であり、再イノベーションによって形成した独自知財権を備える。出力は1,500MWに達し、AP1000技術導入契約で設定された1,350MWの技術ハードルを越えることに成功した。

 国家電力投資集団の銭智民董事長(会長)によると、「国和一号」は同社が主導する国家科技重大専門課題研究事業の成果に依拠して、圧力容器、蒸気発生器、制御棒駆動システム、爆破バルブなど主要設備は全て国際を実現している。また、大型鍛造部品、蒸気発生器伝熱管TT-690材、核グレードのジルコニウムおよび核グレードの溶接材料などキーマテリアルも国産化をほぼ実現している。さらに、先進核燃料カスタマイズモジュールの試作にも成功し、11種のポンプ、10種のバルブの試作品もほぼ完成している。そのため、「国和一号」は総合性能、特に経済性ではAP1000を上回り、今後の量産化によって建造費を10%引き下げることも可能である。

 中国の第三世代原子力発電技術は「国和一号」以外にも「華龍一号」がある。7月14日には中広核が担当し世界初の「華龍一号」実証事業になる福清原子力発電所5号機のドーム屋根コンクリ施工が無事完了し、今後の「華龍一号」設備の建造のための貴重なノウハウが蓄えられた。

 (中国能源網 8月15日)