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【石油・天然ガス】

サウジの石油生産量激減が中国に及ぼす影響 (19/09/18)
2019/9/18
中国【石油・天然ガス】

 サウジアラビアの石油施設が破壊されたことで国際石油市場に激震は走った。9月16日のブレント原油価格は28年来の最大上昇幅を記録した。市場分析筋の大方の見方では、今回の事件は深刻な経済危機をもたらすことはないが、サウジアラビアの生産回復に予想以上の時間がかかる可能性もあり、国際油価にとっては持続的な押し上げ要因になり、中国国内の石油・ガス製品価格も上昇する恐れがある。

 中国国家統計局が9月16日に発表した統計によると、2019年8月期の中国の原油輸入は4,217万トン、前年同月比9.9%の増加になった。伸び率は前月に比べ4.0ポイント下がった。1〜8月の原油輸入は3億2,780万トン、前年同期比9.6%増。

 ロイターによると、中国の原油輸入先ランキングで、サウジアラビアは一貫して上位3ヵ国にある。中国海関総署の統計によると、2018年の中国の原油総輸入量は4.62億トン、前年比10.1%増加した。うちロシアからの輸入は7,149万トン、総輸入量の約15%を占め、サウジアラビアからの輸入は5,673万トン、約12%を占めた。中国の石油輸入先は分散化が進んでいる。ロシアとサウジアラビア以外では、アンゴラ、オマーン、クウェート等が主な輸入先になる。

 隆衆資訊の石油製品アナリストである李彦氏によると、中国のサウジアラビアからの石油輸入量は近年比較的安定しており、2019年以降も大きな変動は発生していない。サウジアラビアはすでに原油在庫を放出して市場に供給すると表明している。そのためサウジアラビアから中国への石油輸出が断たれることはなく、中国の石油使用に影響が及ぶことはない。また、中国がサウジアラビアから輸入する原油価格も今回の事件によって影響を受けることはない。中国の石油輸入契約は1〜2ヵ月前かそれ以上前に結ばれており、価格はすでに確定しているからである。

 今年に入ってから国際油価の変動を受けて、中国国内の石油製品価格は18回にわたって調整されてきた。値上げの回数は値下げの回数を若干上回る。ガソリン価格は累計240元/トン上昇し、軽油価格は245元/トン上昇した。

 李彦氏の見方では、中国の石油製品価格は今回の事件の影響を受けることになる。国家発展改革委員会が発表している石油製品価格計算式に含まれる国際油価がすでに大幅に上昇しているからである。もっとも、李彦氏は「最近の国際油価の上昇は比較的鮮明であるが、市場投機の要素は排除できず、こうした上昇傾向は持続しない。そのため、末端石油製品価格にも余り大きな影響は及ばないだろう」と指摘する。

 また、李彦氏は次のように指摘した。中国は一貫して石油戦略備蓄を高度に重視しており、備蓄量も徐々に拡大している。中国の備蓄量は国際間で十分とされている需要量の90日分に近づいている。中国の現在の石油備蓄はサウジアラビアの突発事件に起因するマイナス影響に対応するのに十分である。

 (人民網 9月18日)